大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)279号 判決

一 特許庁における手続の経緯

被告は、別紙に表示した構成より成り、指定商品を商標法施行規則別表第1類「顆粒高単位ビタミンC製剤」とする登録第一四五六九二八号商標(昭和四二年七月二一日商標登録出願、昭和五六年三月三一日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者であるが、原告は、昭和五六年六月二五日、被告を被請求人として、本件商標について商標登録の無効審判を請求し、昭和五六年審判第一三〇五六号事件として審理された結果、昭和六三年一〇月六日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決があり、その謄本は同年一一月七日に原告に送達された。(中略)

三 審決の取消事由

本件商標及び引用商標の構成、指定商品、登録出願日、登録日、更新登録の経過は、審決認定(審決の理由の要点1、2)のとおりである。

本件商標の構成中「MARUHALOU-C」の「MARUHA」の文字部分は、その全体の構成から、被告会社の社章である「<は>」マークの呼び名を表したものと認識され、個々の具体的な商品取引に当たつては、かかる被告会社を示すにとどまり個々の商品の区別標識とはなり得ない「MARUHA」の部分は略されて、「LOU-C」の部分によつて、単に「ルーシー」と称呼されることが決して少くないものである。そもそも、本件商標において被告会社を示すマークとして顕著に表されている<は>のマークは、林兼商店に由来するいわゆる<は>グループに属する企業を示す代表的マークで、「マルハ」と呼ばれていることは一般によく知られており、この<は>グループは、多くの関連会社でもつて構成され、これらのグループ会社によつて多角経営を行つているところ、被告会社がこの<は>グループにおいて食品加工及び医薬品の製造を担当していることは、当業者に広く知られているところである。また、「MARUHALOU-C」の文字全体より「マルハルーシー」の称呼が生じるとしても、この称呼は長音も一音節をなすことから七音節というやや冗長なものであるため、これを常に一気に称呼せられることなく、簡易迅速を尊ぶ商品取引に当つてはこれを簡略化して、「ルーシー」と称呼されることも決して少なくない。一方、引用商標が「ルージー」と称呼されることは明らかである。

しかるとき、前者の称呼「ルーシー」と後者の称呼「ルージー」とは、「ル」「ー」「ー」の三音節を全く同じくし、ただ第三音節で「シ」と「ジ」の差異があるにすぎず、しかも、「シ」と「ジ」の音は、それを構成する「S」「 」が摩擦音として発せられる調音仕方を同じくする音であることに加えて、その人の言葉全体を明瞭にしわかり易くする大切な要素である母音「i」を共通にするものであるから、本件商標から生じる簡略称呼「ルーシー」と引用商標から生じる称呼「ルージー」によつて称呼取引をしたときは、両称呼が常に明確に区別されることは困難であり、相互に誤認混同せられる場合のあることは免がれないので、両者は明らかに類似する商標であるというべきである。

そして、本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似の関係にあることは明らかである。

しかるに、審決は、本件商標から「ルーシー」の称呼が生じるとはいえないと誤つて判断し、本件商標と引用商標との類否判断を誤つたものであるから、違法であり、取り消されるべきである。

第三 被告は、適式の呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭しないし、答弁書その他の準備書面を提出しないので、請求原因事実を明らかに争わないものとして、これを自白したものとみなす。

そうすれば、本件商標は、引用商標と類似し、同一又は類似の指定商品に使用せられるものであつて、商標法第四条第一項第一一号に該当し、その商標登録は同法第四六条第一項第一号の規定により無効とされるべきものであるから、これと判断を異にする審決は違法であつて、取り消しを免れない。

よつて、審決の取消しを求める原告の本訴請求は正当としてこれを認容する

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